ネットワーク型RTKとは

UAV写真測量

以前に高精度な測位が可能となるRTK測位についてご紹介させていただきました。

この記事の中で「UAVによる公共測量での使用は原則認められていない」ことがデメリットであるとして上げさせていただきましたが、この点については今後マニュアルが整備されていくでしょうし、UAVを用いないRTK測位であれば公共測量も可能ですので、公共測量以外の場面での活用を考えていらっしゃる方もいるかもしれません。

ただ、そんな時に立ちはだかるのがもうひとつのデメリットである「機材が高価」という点だと思います。

今回はそうしたデメリットを解消してくれるだけでなく、基準点の設置が不要になるというメリットまで備えた「ネットワーク型RTK」について、紹介・解説していきます。

ネットワーク型RTKとは

ネットワーク型RTKとは何なのか?

最も分かりやすく説明した文章を国土交通省が公開していますので引用します。

ネットワーク型RTK測量とは、利用者が現場で取得した衛星データと、周辺の電子基準点の観測データから作成された補正情報を組み合わせ、リアルタイムでcm級の測量を効率的に行う方式です(RTK:リアルタイム・キネマティック)。利用者が現場に基地局を設置する必要はありません。

出典:国土交通省

RTKそのものの解説は先にご紹介した「RTK測位とは」という記事を参照いただくとして、通常のRTK測位との最大の違いがここにも書かれている「電子基準点の観測データ」を用いるという点になります。

従来型のRTK測位(RTK-GNSS測位)との違い

それではこの電子基準点とは何なのでしょうか?

従来のRTK測位では、実際に測位を行う『移動局』に加えて、予め座標の判明している点=既知点に『基準局』を設置する必要がありました。

この方式を採ると、デメリットというほどではないにしても以下のような問題が発生するケースが考えられます。

  • 受信機は最低でも2台必要なので機材代がかかる
  • 基準局を設置するというひと手間がかかる
  • 基準局から離れるほど精度が低下する(場合もある)
  • 基準局と移動局間の通信が途切れるとシステムが使えない

これらは全て基準局に由来する問題、あるいは手間であると言えます。

そこで、もっと簡単にRTK測位を実現できるようにと開発されたのが、自分では基準局の設置を行わず、予め日本中に設置されている基準局(基準点)のデータを通信によって受け取ることで行う『ネットワーク型RTK』です。

この“予め日本中に設置されている基準局(基準点)”というのが『電子基準点』であり、北海道から沖縄まで、全国およそ1,300箇所に設置されています。

ネットワーク型RTKのメリット

ネットワーク型RTKのメリットは、先に挙げた問題点をそのままクリアできているという点になります。

まず、基準局を設置する必要がないため受信機は『移動局』1台で良いことになります。UAVであればUAV1機のみ、GNSSローバーも1台だけ現場に持っていけば、それだけで手軽に測位が行えてしまうのです。ネットワーク型RTKシステムを取り付けた重機であれば、工事現場ですぐさま施工が行えるなどのメリットもありますね。

受信機1台での測位が可能なため1人で現場に行って測位を行うことも可能となり、機材代に加えて人件費も抑えることが可能となります。

通信については携帯電話回線を利用します。

全国に1,300ある電子基準点のうち最寄りのデータを取得し、携帯電話回線で補正データを受け取る仕組みとなっています。このため携帯電話回線の電波の届かない圏外ではRTK測位はできなくなってしまいますが、そんな時のために仮想点を用いて、後処理で計算をする方法(スタティック法)も用意されています。

ネットワーク型RTKのデメリット

それではデメリットはあるのかと考えてみたのですが、欠点らしい欠点が見当たりません。

扱いやすくとても便利な仕組みであると言えますが、あえて一点だけ挙げるとするなら『サービスの利用は有料である』ということかなと思いますので、最後にネットワーク型RTKのコストについて解説します。

ネットワーク型RTKにかかるコスト

ネットワーク型RTKにかかるコストは「データの代金」です。

電子基準点からの補正データは民間企業が配信しているのですが、こちらのデータ利用が有料となります。

料金は一律ではなくマチマチですが、大体の相場のようなものはあります。ざっくり紹介すると

  • 従量課金型:基本料金月額2,000円程度+1分100円程度
  • 使い放題型:月額22,000円前後
  • スタティックデータ使用料:1分40円程度

このようなイメージです。サービス会社によっては、年間単位での契約で割引になるサービスや、月契約ではなく日契約・時間契約といった、使いたい時だけ契約できるサービスを行っているところもあります。

利便性を考えると非常にリーズナブルな相場だと思いますが、こうした測量が主流であり頻繁に行うような事業の場合ですと、長期的に見れば機材を購入するよりも割高になってしまうかもしれません。

とはいえ『基準局』の設置不要、人件費も抑えられるということを考えれば、機材代とだけ見比べてコストパフォーマンスを考えるのはナンセンスであるとも言えますね。

こうしたことからも分かる通り、最近のGNSS受信機はネットワーク型RTKに特化した機材が主流となっています。