対空標識とは?その役割は?

UAV写真測量

UAV(ドローン)写真測量を行うには「対空標識」というものを用意する必要があります。

当サイトの別記事をお読みいただいた方は何度か目にしたことがあるかと思いますが、対空標識はUAV(ドローン)写真測量を行う際に目印として必要なマーカーです。

知っている方はおさらいとして。初めてという方にはしっかりと学んでいただけるよう、対空標識とそれに関連する標定点について丁寧に解説していきたいと思います。

対空標識(GCP)とは?

UAVで写真測量を行うにはただ写真を撮影するだけではダメで、予め正確な座標が判明しているポイントがいくつか必要になります。これを「標定点」といいます。同様に、完成した点群モデルにおいて測量した座標が正確なのかどうかを検証するための「検証点」というポイントも必要になります。

これらのポイントは旧来の測量手法で計測して座標を取得しておき、点群モデルが完成したらモデル上にその座標を当てはめてあげるわけですが、ここで問題があります。

ご覧の通り撮影した写真は広範囲に及ぶため、どこが標定点なのか、どこが検証点なのかの正確な位置が分かりません。

大まかな位置は覚えているでしょうが、なんとなく「このへんかなぁ」で座標データを流し込んでしまってはポイントを正確に測量した意味が無くなってしまいます。

こうした事態を避けるため、各標定点・検証点の測量が終わったら、ドローンによる空撮を行う前に対空標識をそれらのポイントに設置していきます。

こんなイメージになります。これなら、撮影した写真からでもどこが標定点なのか、どこが検証点なのかが一目瞭然ですね。

対空標識は中央部が座標を流し込むポイントとなるように設置します。この標識の場合だと、十字の交点が標定点、検証点ということになります。

対空標識にはいくつか模様があるのですが、国土交通省国土地理院が発布している「UAV公共測量マニュアル(案)」に掲載されているものがこちらになります。

画像出典:国土交通省

同マニュアルには大きさも規定されていて、「辺長または円形の直径は15ピクセル以上で写る大きさを標準とする」ということが書かれています。空中写真測量における1ピクセルは地上画素寸法で1センチメートル以下にしなければいけないことになっていますので、上記の模様の場合だと30センチ四方ぐらいの大きさの対空標識を使うのが望ましいということになります。

対空標識の色は白黒が基本ですが、状況により黒黄色や黒色を用いても良いことになっています。

ちなみに対空標識は「GCP」という別名もあり、たまにそういう呼び方をしているケースを見かけます。

また、標定点や検証点は複数設置する必要があるため、後から画像や点群モデルを見た際どれがどのポイントだったのかを識別しやすくするため、対空標識の脇に番号を記載する場合もあります。

対空標識の役割

ここまでご説明した通り、対空標識はただのマーカー(目印)であり、それ以上の役割はありません。重要なのは標定点・検証点の設置であり、それらを識別できるようにするために対空標識が必要だというだけのことです。

しかしながら、対空標識を使うことは役割とは別の意味でメリットがあります。それは、SfM処理ソフト(点群処理ソフト)における、座標流し込みの際のポイント自動認識です。

SfM処理によって写真から点群モデルを作成(復元)し、各標定点・検証点に座標を入力していくわけですが、マウスでひとつずつポチポチと入力していくのはやや負担です。上の図のようにポイントが5点ぐらいしかなければどうってことはありませんが、これが50点、100点となると大変ですよね。

対空標識は先に挙げたように「十字型」や「星型」、「丸形」が使われることが多いというのは分かっているわけですから、多くの点群処理ソフトはこうしたポイントを自動的に抽出する機能を備えています。

自動認識機能はかなり使い勝手がよく、予め測量しておいた各標定点・検証点の座標データをCSVファイルにしておけば、ソフトが自動認識した対空標識に対して一括で座標データを流し込むことも可能になります。1点1点手打ちしていくのとは作業効率が段違いですので、ぜひとも覚えておいてほしい対空標識の活用方法です。

以上のように、対空標識はUAV写真測量を行う上で重要な標定点・検証点と密接に関わってくるツールであると同時に、座標入力の効率を上げてくれるマーカーとしても役立ちます。

そんな対空標識の入手手段ですが、基本的には自作している方が多いですが、最近では市販品もみられます。色や材質により、写真写りにも違いがあり、最終的にはSfMの処理作業に影響を与えますので、いろいろ試して使用することをお勧めします。