UAV(ドローン)測量に適したカメラの選定方法について

カメラ

UAV(ドローン)写真測量をするのに重要な要素が、カメラの選定です。

カメラのスペックによって作業効率に差が出るのはもちろんのこと、重要な要素である「精度」が出ない場合があります。

この記事ではUAV(ドローン)写真測量におけるカメラ選びのポイントを「なぜそのスペックが必要なのか」という点に触れながら解説していきたいと思います。

UAV写真測量を行う上で絶対に確認すべきカメラスペックとは

空中写真測量を行う上で絶対に確認しないといけないカメラスペックがあります。それが以下の3点。

  • センサーサイズ
  • 画素数
  • 焦点距離(画角)

です。これらはドローンの飛行高度を求める計算に係わってくる重要な要素となっていますので、十分に吟味する必要があります。

センサーサイズとは

カメラが好きな方でないとあまり意識したことのない部分かもしれませんのでピンとこないかもしれませんが、写真の写りを左右する重要な部分です。

センサーとは「イメージセンサー」のことで「撮像素子」とも呼ばれます。昔のカメラでいうフィルムのネガにあたる部分で、このセンサーに光を取り込むことで写真を撮影しています。

実はこのイメージセンサーには大きさが何種類もあります。みなさんが当たり前に使っているスマートフォンのカメラのイメージセンサーは、そのほとんどが1/2.3インチという大きさのセンサーです。良いデジカメには1/1.7インチや1インチといったやや大きなセンサーが使われています。一眼レフになると、フォーサーズやAPS-Cと呼ばれる大きなセンサーが使われており、一眼レフのハイエンド機はフィルムと同じ35mmサイズのフルサイズと呼ばれるセンサーが搭載されています。

実際のセンサーサイズ比がこちらの図です。

これだけの差があることに驚きです。光を取り込む部分になりますので、基本的に大きければ大きいほど階調豊かで暗所にも強く、写りの良い写真が撮れます。

では、測量を行うにあたって1/2.3インチセンサーの写りではダメなのかというと、決してそういうわけではありません。しかし、同じ画素数であれば1画素あたりのサイズは大型センサーの方が大きくなるため、写真の仕上がりに差が出てきます。

画素数とは

画素数が高いほど良いカメラだと思っている方も多いと思いますが、それは半分間違いで、低画素数の方が階調豊かであったり暗所に強いことが多いという特性がありますので、カメラの性能を画素数の多寡だけで測ることはできません。

そもそも「画素」とは何かという話なのですが、写真というのは小さな点が無数に集まった集合体です。その点のひとつひとつが「画素」です。同じ場所から同じレンズで撮影した写真の場合、写っている範囲は同じでも画素の数が違いますので、高画素のカメラの方がより高精細で大きなサイズの画像となります。

空中写真測量において画素数が重要なのは、ドローンの飛行高度に直接的に影響するからというのが最大の理由です。飛行できる高度が大きく変わりますので、画素数の高いカメラを選ぶことはとても重要です。

ドローン写真測量においては、できるだけ高画素のカメラを用いる必要がある、ということを覚えておいて下さい。

焦点距離(画角)とは

みなさんも「ズーム」という言葉は聞いたことがあると思いますが、ズームすると被写体を大きく写せるかわりに写真に写る範囲は狭くなりますよね。こうした写せる範囲の違いを表すスペックが「画角」です。画角の違いはレンズの焦点距離の違いによるものですので「焦点距離」とも呼ばれます。

広い範囲を写せる画角を「広角」、被写体を大きく写すぶん写せる範囲が狭い画角を「望遠」といいます。その中間は「標準」と呼ばれます。

空中写真測量を行う上では、これらのうち「標準」の画角をもつレンズ(カメラ)を選択するのが最適です。

広角レンズは広い範囲を写すという性質上、画像の四隅に湾曲が出てしまうことが多いですのでやはりあえて選択されることはありません。レンズ性能の高い、湾曲の少ない良いレンズであれば広角でも大丈夫なケースもありますが、飛行可能高度が下がってしまうという問題はあります。

できるだけ正確な画像を撮影できるよう、「標準」の画角を持つレンズを選択するようにすると良いでしょう。

なお、冒頭でズームについて触れましたが、このように画角(焦点距離)を変えられるいわゆる「ズームレンズ」は構造上どうしても歪みが出てしまいますので、写真測量に使うレンズ(カメラ)はズームレンズではなく、画角の固定された「単焦点レンズ」を使うようにして下さい。

もう一度まとめると、ドローン写真測量において選ぶべきカメラは以下のようになります。

  • なるべく大きなイメージセンサー
  • 高画素
  • 短焦点レンズ
(参考) 国土地理院「UAV を用いた公共測量マニュアル(案)

(使用するデジタルカメラの性能等)
第24条 撮影にしようするデジタルカメラの本体は、次の各号の性能及び機能を有することを標準とする。
一 焦点距離、露光時間、絞り、ISO感度が手動で設定できる。
二 レンズの焦点の距離を調整したり、レンズのブレ等を補正したりする自動処理機能を解除できる。
三 商店距離や露光時間等の情報が確認できる。
四 十分な記録容量を確保できる。
五 撮像素子サイズ及び記録画素数の情報が確認できる。

2 撮影にしようするデジタルカメラのレンズは、単焦点のものを標準とする。

カメラスペックと写真測量の関係

それではなぜ、先にご紹介したスペックのカメラが必要になるのかという点について解説致します。

ドローン写真測量の精度は、ドローンの飛行高度と上記の3つのスペックによって決定されます。

必要な精度は業務の目的によって違いますが、例えばi-Constructionにおける工事の出来形管理は誤差±5cmと決められています。この誤差に収めるためには、写真1画素あたりの実スケールを1cm以内に抑える必要があります。

こうした要求精度のことを「地上画素寸法」といいます。

この精度を実現するために、ドローンがどのぐらいの高度で飛ぶことが可能なのかは以下の計算式で求められます。

撮影高度=(地上画素寸法÷1画素あたりの大きさ)×焦点距離

最後に、なぜドローンの飛行高度を稼ぐことが重要なのかを解説したいと思います。

高度に余裕があるということは、それだけ1枚の写真で写せる範囲が広くなり、撮影しなければいけない枚数を抑えることができるようになります。撮影枚数が減るということは、ドローンの飛行時間=作業時間を短縮できることに加えて、後ほど写真から点群を作成する際にかかる処理時間を短縮することもできます。

また、斜面や法面など高低差のある場所を測量する場合や、地上に木や高層建築物といった障害物がある場合などは、高度を稼げないと障害物にぶつかってしまう可能性があるため、フライトさせることができないといった事態にもつながりかねません。

さらに、航空法によって「第三者や第三者の財産から30m以上の距離を確保しなければならない」とも規定されていますので、高度が稼げない場合には飛行承認申請を行わなければならないという手間が増えることも考えられます。

以上のような理由から、できるだけ高度を稼ぎつつ質の良い写真が撮影できるよう、画素と画角を工夫して自分の使用状況に見合う正しいカメラを選択する、ということがドローン写真測量では重要となります。

ただ、高画素の写真はファイルサイズが大きく、解析に時間がかかってしまうこともあるため、カメラ選びは本当に悩ましいところです。